大阪高等裁判所 平成8年(行コ)18号 判決 1996年10月18日
大阪府枚方市楠葉町二丁目一二番二〇号
控訴人
中村勇
右訴訟代理人弁護士
梅田章二
大阪府枚方市大垣内町二丁目九番九号
被控訴人
枚方税務署長 松浦清
右指定代理人
恒川由理子
同
長瀬顕
同
清水透
同
佐伯健
主文
一 原判決を取り消す。
二 本件を大阪地方裁判所に差し戻す。
事実
第一当事者の求める裁判
一 控訴人
1 原判決二項を取り消す。
2 被控訴人が、控訴人の相続税について、平成四年六月二四日付でなした平成二年一二月二一日相続開始に係る相続税の更正のうち、課税価格一億七六三〇万四〇〇〇円、納付すべき税額三九九七万六九〇〇円を超える部分を取り消す。
3 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
第二当事者の主張
原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
理由
第一 職権によって調査すると、本件記録上、次のとおり認められる。
一 原判決の基本となる弁論終結時の口頭弁論に関与している裁判官は、裁判長裁判官福富昌昭、裁判官加藤正男、同小林康彦である。
二 ところが、原判決には判決をした裁判官として、裁判長裁判官福富昌昭、裁判官加藤正男、同大島道代の署名押印がされている。
第二 以上によると、原判決は、民訴法一八七条一項に違反し、判決の基本となる口頭弁論に関与しない裁判官によってなされたものであり、原判決の手続は違法であるから、民訴法三八七条に基づき、取消を免れない(最判昭和三二・一〇・四民集一一巻一〇号一七〇三頁参照)。
第三 よって、民訴法三八七条、三八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 吉川義春 裁判官 小田耕治 裁判官 杉江佳治)